11 体で覚えるということ
<前回のあらすじ>
俺理論その①はランプレレセプタクル50回法であった。体で覚えたことは一生忘れない。この事をこのページでも繰り返し説明する。
昔の洋画で「ベストキッド」という空手の映画があった。
主人公は空手ど素人のダニエル。空手の達人ミヤギが独自の方法で教える.
が、師匠ミヤギは車のワックスがけやペンキ塗り、サンドペーパー掛けという空手の技とは考えられない単純作業の繰り返しを指示する・・・ミヤギの指導方法に疑問を持つダニエル。
ある日の事、すっかりふてくされてしまったダニエル。空手の技を教えてくれないミヤギに抗議する。
「あんたの用事ばかりだ!空手の技を教えてくれるんじゃないの!?」
ミヤギは一言こう言う
「やれ!」
文句たらたらのダニエル。実は師匠ミヤギはちゃんと教えてくれていた。ワックスがけやペンキ塗り、サンドペーパー掛けの繰り返しは、空手の防御法の練習だったのだ。この事がわからないダニエル。

そして次の瞬間ミヤギの正拳突きが飛んでくるが、なんとダニエルはミヤギの正拳突きや蹴りを
完全に防御できるようになっていた。
ミヤギは自分の経験から知っていた。
繰り返すこと(単純作業)をやめなかったダニエルには鉄壁の防御が出来る事を。

体が勝手に動き、ミヤギの攻撃を防いだ自分にハトが豆鉄砲状態のダニエル。
「え!?何?マジ? いつの間にこんな防御ができるようになったの!?・・・俺、スゲェェ」
師匠ミヤギは専守防衛という空手の大原則と心技体のバランス、武道の心を同時に教える。空手は防御のみ。戦って勝つ事は容易い事。空手は相手を倒す為のものではない。人間にとって本当の勝利とは何か?相手を活かし、自分を活かす事こそが本当の勝利なのではないか?ミヤギ哲学の深さに感銘し成長していくダニエル。
迎えるトーナメントでは相手チームの謀略により負傷しながらも、師匠ミヤギへの恩に報いようと根性を見せる。
「自分の為でもない、正義の為に戦いたい。ミヤギ、力を貸してほしい。」
精神的にも強くなったダニエルにミヤギは手当をする。
ミヤギ流空手、師匠から教わった技を繰り出すダニエル・・・そして・・・

繰り返す事の重要性
この試験に勝つ事(合格する事)は泥臭いものだ。頭脳派だろうが肉体派だろうが関係ない。この技能試験は単純作業を繰り返したものだけが合格できる試験だ。
そこに抜け道はない!短期間での上達などありえぬ。最初は失敗続きであっても、繰り返すうち必ず上達する。
空手の初心者と上級者との違いは、繰り返した年月の違いであって、確かに個人差はあるだろうが、長い年月続けた人の技は強く美しい。
職人の世界もそうだ。数か月レベルの職人(見習い)と何十年レベルの職人では持ってる技も腕も全然違う!
ど素人のお前らは俺のいう事を聞け。そして絶対に技能試験に合格して欲しい。
ランプレセプタクルを50回!!!
「やれ!」
<このページのまとめ>
私は若いころ大工の職人になりたくて修行しておりました。大工と言えばハンマーで釘を打つイメージがありますが、最初の1年くらいは釘を打たしてもらえません。仕事と言えば掃除や職人さんの手元役ばかり。
職人は仕事を教えてくれません。教えないのが当たり前であって、技は盗むものであると言っていました。私は落ちてる木材を拾って、落ちてる釘を拾い、親方の見ていないところで釘を打つ練習をしていました。
ところが釘には全然当らず、自分の指ばかりを打っていました。釘を打つより自分の指を打つ回数の方が多いのです。何度も繰り返すうち、指より釘の方に当る回数が多くなっていきました。
次第に釘を打つ仕事もさせてもらえるようになります(滅茶苦茶うれしい瞬間です)が、なんとなく打てるようになるのに1年。しっかり打てるようになるには3年かかりました。どんな角度からも、どんな体勢からでも打てるようになるには5年かかりました。
釘1つ打つのにこれだけの年月が必要です。大工をやめて約20年経ちますが今でも釘は打てます。体が覚えた技は一生忘れないのですね。
ここで話は第二種電気工事士技能試験に戻ります。
ランプレセプタクル50回法はただ単に単純作業の繰り返しです。電線を切断する。被覆を剥く。電線で輪っかを作る。ねじと合わせる。
この単純作業の繰り返しは『体に覚えさせる』という事です。教科書に書いてある通りの事がいきなりできる人はいませんよ。最初はめちゃめちゃでいいんです。誰もが通る道です。
ところが繰り返し何度もやるうちに、上手に出来るようになるのです。職人とはそういう人たちの事を言います。技能試験では職人レベルの技が必要。
これを最短で習得する練習法こそが、この
ランプレセプタクル50回法
という訳なのです。
なまじ頭が良い人はこれ(体が覚える技)を理解できていないので、何度も技能試験で不合格するのです。下積みが出来ない人は何をやってもうまくいかないと思いますよ。
技能試験で勝つには『体で覚えたレベル』に達していなければなりません。この試験は職人向けの試験なのですから。